リブランディングプロジェクトについて
虹の会では、30周年という節目を機に、「これからの30年」を見据えたリブランディングプロジェクトを進めてきました。
今回の取り組みは、単にロゴや冊子を新しくするためのものではありません。現場で積み重ねてきた実践や、地域との関係のなかで育まれてきた価値をあらためて見つめ直し、「これから虹の会はどんな姿勢で社会と関わっていくのか」を言葉にしていく試みでした。
ヒアリング、先進事例調査、ワークショップといったプロセスを通して見えてきたことを、Q&A形式でご紹介します。
Q1|なぜ、このタイミングでリブランディングを始めたの?
30周年は、これまでの歩みを振り返るだけでなく、次の時代に向けて組織のあり方を考える節目でした。
利用者を取り巻く環境や地域の課題、福祉制度の状況は、この30年で大きく変化してきました。福祉の役割や社会からの期待も、より多様になっています。
虹の会の現場には、長年の実践の中で培われてきた知恵や工夫があります。しかし、それらが組織の内外で十分共有されているとは言えませんでした。
そこで今回のプロジェクトでは、「今の虹の会らしさとは何か」「これからの時代に、どんな価値を社会に届けていくのか」という問いからスタートしました。
ロゴやデザインを考える前に、まず組織の文化や実践を見つめ直すこと。それが今回のリブランディングの出発点になりました。

写真は児童発達支援事業と放課後等デイサービスの事業所「ぱれっと」。児童に対し、生活スキルの練習やコミュニケーション、遊びや創作など、一人ひとりの“できる”や“楽しい”を大切にした支援を行っています。
Q2|現場の声をどのように集めたの?
プロジェクトの最初のステップは、現場で働く職員・スタッフ24名のヒアリングから始まりました。

ヒアリングでは、日々の支援の中で大切にしていることや、利用者との関係、地域とのつながりについて多くの声が共有されました。たとえば、以下のような声があがりました。
生活支援員:
「たとえば、震災が起きたとき、利用者さんに手を差し伸べられるのは自分たち職員ではなく、地域の方かもしれない。そう考えると、自立とは誰かに頼らずに生きることではなく、暮らしの中に、いくつもの “頼れる場”を持てることだと思う」
相談員:
「福祉に関わる職員に必要なのは、想像力。相談窓口に電話をくださった方は、どんな気持ちだろうか?1本の電話をかけるまでにどれだけ迷いがあったのだろうか?と想像しながら受話器を取っている」
職業指導員:
「当然のことだが、障がいのある・なし以前に、ひとりの人間としてその人の性格がある。日中活動時の声のかけ方ひとつをとっても、その人の性格に合わせたアプローチを心がけている」
その他には、炊き出しや防災イベント、お祭りなどを通して、地域の人が施設を訪れるきっかけをつくりたいという意見もありました。
ヒアリングを通して見えてきたのは、虹の会の現場には利用者の「できること」「やりたいこと」を支えようとする姿勢と、それぞれの仕事への誇りがしっかりと根付いているということでした。
Q3|先進事例の調査から、どんなヒントが得られた?
福祉の先進事例の調査も行いました。訪問したのは、千葉県香取市の「恋する豚研究所」です。
この事例から見えてきたのは、福祉を福祉の内部だけで完結させないための工夫でした。
たとえば、社会福祉法人「福祉楽団」が運営する農福連携のレストラン「恋する豚研究所」では、まず魅力ある商品やブランドとして消費者が訪れる環境があり、その先に福祉の実践があります。また、高い工賃水準を実現するための確固たる意思と仕組みが整えられていました。こうした構造が、福祉と社会の間に分断を生まない関係をつくっていることを学びました。

制度や施設といった“箱”が、ときに社会との境界線をつくってしまうのではないか?
そうした視点は、今回のプロジェクトにとって大きな示唆となりました。
Q4|ワークショップでは、どんな対話があった?
27名のスタッフが参加するワークショップを開催。まず行ったのは、日常のなかで「ありがとう」と感じた瞬間や、心地よかった出来事を振り返るワークです。

「廊下にいた利用者さんが、私の上ぐつの向きをはきやすいように揃えてくれていた」
「利用者さんが出張に出かける時に、『出張、頑張ってください』のお手紙を書いてくれた」
「悩みがあったけど言いにくさを感じていたとき、上司が『しんどくないか、大丈夫か?』と声をかけてくれた」
こうしたエピソードを共有することで、虹の会のなかにある関係性やケアの文化を改めて言葉にしていきました。
さらに、制度や施設のなかで利用者が抱える「制限」と、最近「ワクワクしたこと」を掛け合わせ、「こんな福祉施設があったらいいな」を発想するワークも行いました。
制度の制約をいったん疑い、もっと自由に福祉の可能性を考える時間でもありました。
このワークショップを通して見えてきたのは、現場の職員一人ひとりが、利用者の暮らしをもっと豊かにしたいという思いを持っていることでした。
Q5|理念である「共に生きる」は、どうなる?
今回のプロジェクトの中心にあったのは、虹の会の理念である「共に生きる」という言葉を見つめ直すことです。「共に生きる」は、とても大切な言葉である一方で、さまざまな解釈ができる言葉でもあります。
ヒアリングでは、
・利用者の自立を支える関わり方
・障がいの有無に関係なく一人の人として向き合う姿勢
・相手の状況を想像すること
など、現場のなかにすでに「共生」の実践が根付いていることが見えてきました。そこで今回の対話から見えてきたのは、「ここに集う誰かの“共に生きる”を支援する」という視点です。

Q6|ロゴや冊子のリニューアルには、どんな意味があるの?
ロゴや冊子のリニューアルは、このプロジェクトのゴールではなく、対話を通して見えてきた価値観をかたちにするためのものです。
ロゴやキャッチコピーの検討では、
・現場の声を反映すること
・高島という土地のイメージとずれないこと
・虹の会の「これまで」と「これから」をつなぐこと
を大切にしています。
新しいロゴは、「虹」が生まれるための要素である「雨粒」「太陽」「人」をモチーフに。

雨粒は困難や試練、太陽は希望と光、そして人は一人ひとりの存在の尊さを表しています。困難のなかでも支え合い、その先にある光を見つめながら歩んでいく。虹の会の姿勢を、このシンボルに込めています。また、新しい虹の会のスタンスを伝えるために『虹の会のいろはBOOK』という冊子を制作しました。

30周年を迎えた今、改めて伝えたいこと
今回のリブランディングは、過去を整理するためのものではなく、これからの福祉を考えるための出発点です。虹の会はこれからも、一人ひとりの暮らしに寄り添いながら、地域のなかで「共に生きる」を支える存在であり続けたいと考えています。
